《河南省にヤオトンを訪ねて》

2005年1月に山西省に平遥古城へ行った際に一寸だけ足を伸ばして『ヤオトン』を見る機会がありました。
ヤオトンは山西省・河南省に多く分布するのですが、今回は『ヤオトン』探訪を目的として河南省で探しまし
た。

2008年4月4日

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さて、現地を訪ねたのは2008年4月4日でした。
周辺には木々に薄紫の花が数多く咲いていました。

さて、冒頭のヤオトンの解説文にもありましたが、ここでの作り方は『掘り下げ方式』です。
それがこれらの写真でよくわかります。

窰洞(ヤオトンYao Tong)

中国中央部に広がる黄土高原は、西方のゴビ砂漠から風に乗って運ばれてきた黄土が堆積してできた1000mを越す高地です。
年間降水量が約400mmと少なく、内陸に位置するため夏は35度を超す酷暑、冬は零下20度を越す酷寒という厳しい自然条件です。
雨量が少ないため、建築材料となる樹木が育たず、人々は地面を掘り下げて地下住居「ヤオトン」をつくりました。井戸水の温度が一年を通じてあまり変わらないように、地下の家は夏涼しく、冬は暖かく、黄土高原の厳しい自然から人々を守ってくれます。

《省資源住宅》
黄土は乾燥すると強度が増す、掘削に適した材料です。
ヤオトンは黄土を掘って造られる、建具などに少量の木材を利用するだけで、ほとんど建築材料を使わない省資源住宅です。

《地下の住まい》
ヤオトンには崖地に造られる横穴式のものと地面を掘り下げて造る下沈式のものがあります。
山西省に多く見られる下沈式ヤオトンは地面に大きな四角い穴を掘り、これを中庭として、ここから四方に横穴を掘って居室などをつくります。
中庭となる穴の大きさはそこに住まう家族・一族の人数によって変わります。
日当たりの良い北側を中心に居室が、日当たりの悪い南側には物置や家畜小屋として利用する横穴が造られます。

《中庭》
ヤオトンでは中庭を囲む形で居室がつくられます。
日当たりが良く黄土高原特有の強風を避けられる地下の中庭は、農作業や洗濯などの日常作業が行われる生活の場となっています。

《排熱利用の暖房設備》
日当たりの良い入り口脇には、一段高くなったカンと呼ばれる寝台兼食事スペースがあります。
カンに隣接してかまどが設けられており、カンの下は調理の排熱と煙が流れる空洞となっています。
カンは蓄熱性に優れた日干しレンガで造られているため、排熱を蓄え、温かさが持続します。


厳しい自然条件に適したヤオトンは今なお4000万もの人が住んでいると言われています

【ダイワハウス工業のHPから】

さて、改めてヤオトンとは・・・

河南省の洛陽でタクシーに乗車して、『ヤオトンが見たいから適当な所へ行ってくれ』というと、一瞬怪訝
な顔をされましたが直ぐに合点がいったようで車をスタートさせました。

ものの30分足らず走った後、下車を促されました。

まさに『ヤオトン』です。感動してしまいました。

堆積した黄土の断崖の至る所に横穴が掘られて玄関が見えます。

内部の様子です。

朽ち果てていますが、つい最近まで家族が暮らしていた痕跡が残っていました。

玄関の上・右・左の文字を拡大してみました。

桐の花でした。(最近は花の名を知らない若者が増えているようで残念です)

さて、ヤオトンは現在廃墟になっていますが、人々は何処へ消えてしまったのでしょうか?
直ぐに答えが出ました。直ぐ近くに真新しい多くの家々が見えました。多分、地域の政府が移住を計画し、
住民は僅かな負担で近代的な生活を手に入れたに違いありません。
いくら住み慣れたといってもヤオトンの生活は楽ではないと思います。

季節はまさに『春』。